マレフィセント

ここ一週間急に真夏めいてきて、日本暑すぎ!ってなったので、
異世界に逃避するべく「マレフィセント」観てきました。
で、簡単な感想と、いろいろ思うことがあったので書いてみます。

お話は、有名な「眠れる森の美女」の物語を、王女に呪いをかける悪い妖精マレフィセントの視点から描いたもの。
というか、ぶっちゃけ話変えすぎ。妖精の国と人間の国で対立させちゃってるし。まあその方が分かりやすいのかな。
正直話は感想書くほどのものじゃなくて、特に後半の展開が雑すぎておいてけぼりをくらったというか……。
しかし、娯楽と割り切ってみれば世界観・キャスト・美術は文句なしの完成度だったと思います。
妖精の国なんて「アバター」並に華麗だし。っていうか「アバター」スタッフの仕事なんですね。
CGでいじってあるにしても(頬骨とか)アンジェリーナ・ジョリーが素晴らしかったです。悪魔的な表情も、幼いオーロラ姫を見守る表情も、
ビシッと決まってますね〜。彼女のための映画といっても差し支えない。
衣装などもクラシカルで、善良な3妖精もイギリスの俳優さんを使ってるし、ケルティックな世界へのこだわりを感じます。
(これも後半、鴉男がドラゴンになったり、マレフィセントキャットウーマンみたいになったりするあたり、いきなりのハリウッド感で
違和感すごかったですが……全体的にツメが甘いのが残念すぎる)

しかしこの話、男の扱いがひどい。国王は暴君だし、王子は運ばれてただけ(本当だよ)。
男性が観てどう思うんでしょうか。この男性不在の世界は「八日目の蝉」を思いだします。(自分を裏切った恋人の娘を育てるというところも)
唯一仕事してるのは鴉男のディアヴァルだけ!っていうか人間じゃねえ!
ディアヴァル、いいやつなんですよ。マレフィセントに支配される存在ですが、なんやかんや文句いいながらも主人のために奔走し、
主人の気持を見抜き、誰よりも思いやっている萌えキャラである。
(ディズニーはこういう、忠告役のサブキャラに妙に魅力的なのが多いですね。
アナと雪の女王」のオラフも良かった。個人的には「ファインディングニモ」のドリーと「ピノキオ」のクリケット卿が一番好きです。)

でも一番びっくりしたのは、ディズニーが悪役を主人公にするという発想を実現しちゃったということ。
これ随分画期的なことだと思うんですけど、どうなんでしょうか。
お互いへの愛憎うずまきまくってる王とマレフィセントの複雑なキャラクターも良かった。
ディズニーが、こんな人間の二面性にまで踏み込んだ作品を作るのは結構珍しいんじゃないでしょうか。まあ最終的には
王様=悪 マレフィセント=善 といういつもの構図に落とし込んで終りなんですが。
翼を切ったり、血を見せちゃったり、っていうのもすごいね。
ディズニーが冒険してくれた映画だなあと好意的に観ました。

あとラストの歌が懐かしい……と思ったら「眠れる森の美女」のオーロラ姫の歌のカバーなんですね〜。
そして「眠れる森の美女」が、もともとはバレエ作品だったということも初めて知りました。
私は「眠れる森の美女」は小さい頃(小学校あがる前くらい……)に観たきりですが、善良な3妖精が好きでした。
(だから今回の彼女らの描かれ方はけっこうショックでした。旧作ファンが怒るのも分かるw)
大竹しのぶの日本語バージョンも良いです。そして旧作の王子って今見るとほぼ痴漢。

今回みたいに、壮大な物語背景で、悪行の理由が正当化されてるマレフィセントも良かったですが、
ハミゴにされてパーティに招かれなかったから仕返しするっていう、子供心に「子供かよ!」って思ったくらい
自己中でさびしがり屋のマレフィセントの物語も、いつか誰か作って欲しいです。(ハミゴって方言なのかな)