バケモノの子

なんだかんだ言いながら毎回劇場で見ている細田アニメ。
今回も中学以来のオタ友と誘い合って見に行くことになりました。
以下感想。(ネタバレあるよ)

細田アニメは決して嫌いじゃないし、おもしろいんだけど、鑑賞後に残るもやもや感にだれか名前をつけてください。
たぶん一言でいうとキャラ描写が浅い。キャラクターが情熱よりも話の都合で動いてる感じは好きじゃない。
九太は親を失い熊徹のもとで強くなることを決め修行に励む、と思ったら大きくなってから突然「普通に暮らしたい」とか言い出すから観てるこっちは動機が見えなくてつんのめってしまう。ブレブレじゃないか。
紅一点の楓ちゃんも、一郎彦戦に至ってはただのワガママ娘で好感が持てない。一番好きなのはやっぱり熊徹かな。信念と行動に一本筋が通ってるし、感情表現が豊かでリアリティのあるキャラクターでした、可愛い。

とまあここまでdisっておいてなんですが、
細部を気にしなければ話のつじつまはあってるし、美術面はむしろ大好物、いや素晴らしかったです。ケモナー歓喜
お話はとってもベストキッドな感じでした。宗師様は見るたびドラゴンボールの兎人参化を思い出してしまう。
そしてこの話で一番不思議な存在はチコちゃんである。ネズミにしては長生きしすぎだろう。結局なんなんだあれ!怖い!!

[8/20追記]
というかあんまりもやもやするのでちょっと自分の中で整理してみた。何がこんなにひっかかるのか。
幼い頃の九太は熊徹のさびしさに共感して、弟子という形でそばにいてあげようと思うのです。ここまではいい。
成長してから、唐突に人間界で普通に暮らしたいとか言いだす。
そりゃ親に死なれて、人並みの幸せに憧れてたのかなあと理解できなくもない、一切描写がないけどな!
でも「普通の暮し」って何?親と暮らして学校に行ってとかそういうの?
親と暮らしたいとか、情愛から行動するんならわかるけど、住民票とりにいくまで父親のこと忘れてたんでしょ。
つまり九太の言う「普通の暮らし」って「人並みの暮らし」ってこと?この人世間体のためにがんばってんの??
並の世間体を手に入れるためにがんばって、精神面は熊徹が補完してめでたしめでたしと。
もうこの主人公、一から十まで行動に理由がない。周りに流されるままにしか見えない。
主人公に意志がないというのは、物語として致命的な欠陥だと思うわけですよ。他の良い要素を
全部つぶしてしまうくらい話をつまらなくするなと、今回強く感得いたしました。

いやあ映画を観て腹が立ったのは久しぶり(10年前に観たチョコレート以来)ですが、
細田さんはイマジネーションとか細かい演出とかは、やっぱり突出したものを持ってらっしゃるので、
なんやかんや次回も見に行くと思います。