愛のむきだし

あけましておめでとうございます(遅い)生存してますよ!
ちょっとさすがに一年に1回という更新ペースは自分でもどうかなあと思うので、
今年はもうちょっとダイアリーも使っていこうと思います。
天地創造のプレイ日記はですね、えーと、データ消えました(えー)。でもまた違う形で何かしたいなーと思います。どうしようかなあ。

というわけで、なんかまとまりつかなくてお蔵入りしてた「愛のむきだし」の感想おいときますね。
おもしろいって聞いてたけど…なんか怖そうだなーと敬遠してたのを、やっと観ました。
新年早々4時間かけて映画みましたよ!

愛のむきだし [DVD]

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4時間といっても結構ポンポン話が進むし、かなり笑えるので、中だるみはあまりない、と思います(さすがに二日かけて観たけど)。ただ、エログロ全く駄目な人はおすすめしません。

主人公のユウはクリスチャンの家に育ち、死んだ母親の言葉に従って「自分だけのマリア」となる女性を追い求める男の子。彼の父親は神父でありながら信者の女に誘惑されたあげく、手ひどく裏切られ、それ以来自分の過ちをを正当化するためか、息子に毎日罪の懺悔を強要するようになります。
多分この主人公、この映画の中で一番まっとうで、文字通り虫も殺さぬ性格なので、懺悔するにもネタがない。でも懺悔しないと愛する父親に捨てられる。というわけで不良仲間に入り、毎日罪作りに励むようになります。
そんな中、ある新興宗教の幹部であるコイケという少女がユウに興味をもちます。コイケはユウを自分のものにするために、策略を展開させていくのですが…(ここまであらすじ)。



究極の罪作りがパンチラ盗撮部隊なのが爆笑しましたwテーマが重い割に、全体的になんか可笑しいのがこの監督の味なのかなー。個人的には渡部篤郎が「ヘンタイ!」と叫ぶシーンが、笑うとこじゃないけど笑ってしまう。
唯一わからなかったのが、コイケの手配によって、ユウがマリアとなるヨウコと出会うところ。コイケはなんでそのこと(ユウのマリアがヨウコであること)分かったの!?なんでもお見通しかコイケ!神かお前は!まさに全てはコイケてのひらの上。
そう、何よりもこのコイケちゃんの悪役ぶりがすばらしい。もはや影の主役は彼女。ユウとヨウコをひき合わせ、しかも最悪の形(義理の兄妹という形)で結びつけ、自分はヨウコを誘惑してユウを嫉妬に狂わせた上に、家族ごと自分のカルト宗教にひきずりこむことで、芋づる式にユウもゲット!好きな子に意地悪の範囲を超えてるわ!すごい倒錯っぷりです。
コイケがユウに強烈なシンパシーを覚えたのは、どっちも親に過剰な原罪意識を植え付られて育ったからで、ユウは不良仲間に入って友達と盗撮という居場所(笑)を得たけど、
コイケは父親から女の体を持つことを責められ続けて逃げ場もなく、心を壊されてしまった子供。
だからコイケは、ユウに憧れたり妬ましかったり自分とおんなじになって欲しかったりしたのかな。でもユウはどんなに洗脳しようとしても、誘惑しても、自我を失わない。コイケの思う通りにはなってくれない。ユウにとって神様は母親のくれたマリア像=ヨウコだけだから。
だから最後にマリア像を叩き壊して、ユウの発狂を見届けてから、コイケは満足して死んでいきます。教団も、ユウも、父親も、自分自身も、愛したもの愛して欲しかったものをみんな破壊することでしか安息を得られないコイケが一番かわいそうで、
ヨウコとユウの恋愛が生きるため正の愛だとしたら、コイケのそれは死に向かう負の形ではあるけれど、確かにむきだしの愛だったのかなあと思います。
ちょっと勃起とパンチラが食傷気味になるけどwよく練られた骨太のシナリオで、これだけの密度で4時間も撮れたなあと感動したりとか、ゆらゆら帝国のテーマがハンパなく耳についたりとか、満島さんよく聖書の一説丸暗記したな、大変だっただろうな…とか(でもあのシーンすごく好き)、わかんないけど相当いろいろオマージュしてるんだろうなとか、とにかくおもしろかったので、4時間余裕のある人はぜひ見てください。
あとスプリットスクリーンフェチとしては、中盤のユウとヨウコが電話してるのをコイケが盗聴してる画面に大変萌えました、かっこ良かった!この監督のほかの作品もおいおい観ていきたいなーと思います。