ガタカ

先日ふと好きな映画を人に話したときにぽっと
頭に浮かんだガタカ
そういやいい映画だったよな…でもどんな話だったっけ?
そもそもなにがそんなに良かったんだっけ?
といううろ覚えぶりに自分でもびっくりして
思わずツタヤで借りてしまったわけです。

ガタカ [DVD]

ガタカ [DVD]

舞台は近未来。遺伝学の発達によって、人間が生まれた瞬間から能力や可能性といったものが分るようになっています。主人公のビンセントは、心臓に欠陥があって若くして死ぬと言われて育ちました。
そんな彼の夢は宇宙飛行士。でもその時代、宇宙飛行士は、遺伝子操作ですべての欠陥をのぞかれて生まれた、いわゆる遺伝子エリートにしかなれない職業だったのです。自然出産という出自のビンセントには、どんなにがんばってもなれない夢の職業。でも彼はなんとかして夢を実現させようと、ある方法をこころみるのですが…(ここまであらすじ)。
今回はPCで見たせいか、感情移入度は前回見たときのほうが勝っていた気がする。(前回は投影機使って家のスクリーン…壁ですが…で見たのね)まあ、結末知ってるからっていうのもあるけど。
それにしても自分でもびっくりするくらい話覚えてなかったけどね。
でもやっぱりいい映画です。
極限まで無駄がそぎおとされ、シックな色調で彩られた近未来の風景。
一発で世界に入り込めます。主張しすぎないBGMもいい。
登場人物もそれぞれ魅力的ですが、なんだか今回は役者の目ばかり目がいってしまいました(しゃれじゃないよ)。
ビンセントのかげりのある、力強い瞳。
アイリーンの、人形のようにミステリアスで、時々憂いをたたえる瞳。
ユージーンの目はいかにも才気煥発といった感じで、でも子供っぽい稚気も見え隠れしている。
あとはビンセントの弟の目も良かった。
人間の将来までもが管理下におかれている近未来の世界で、人はみんなロボットのように感情のない目をしているんです。それだけにそれぞれの役者さんの「目でものいう」ときの演技が光って見えます。
最後のユージーンの選択は、前みたときは「なんで????」で終わっちゃったんですが、今見ると少しわかるような…
それでも彼にはほかの選択を選んでほしかったなあ。
実はけっこう厭世感に富んだ映画だったのかなあ。
それでも主人公のビンセントが、文字通り血のにじむ思いで宇宙飛行士を目指す姿は、生きることへの全肯定だと思うんですよね。
観た後に、なんだか形状しがたい物悲しさが残る映画です。
しかしビンセントの夢にかける情熱はすごい。うらやましいくらいだ…。