半落ち

せっかくの連休なので、DVDを見よう!ということで。
まず、前々から見たいと思っていた「半落ち」。ドラマのやつをちらっと見たことがあって、確かおもしろかった気がするので…というあいまいな動機。
そして「パコと魔法の絵本」で中島監督に興味がわいたので、ずっと見逃してた「下妻物語」。
なんとなく重そうな映画は先にすましてしまおうという傾向があるので、まず「半落ち」からみることに。

正直、「あれ?こんな話だったっけ?」っていう勝手な思惑はずれはありました…なぜか推理ものだと思い込んでた私って…。
でも、奇をてらったところもなく、質実としたいい映画だなと思いました。昔ながらの邦画。
私は結構こういう考えさせられる映画が嫌いではないので、見た後しばらく余韻にひたれました。
お話は、実力もあり人柄も堅実だった刑事・梶が、アルツハイマーをわずらっていた自分の妻を殺害し、自首してくるところからはじまります。
(正直、警察と検察の取引のあたりはよく理解できなかった。小説の方がわかりやすいと思うが、映画だとだれてしまう気がする。)
なぜ彼は妻を殺したのか?殺してから自首するまでの空白の2日間、彼は一体なにをしていたのか?という謎を中心に展開していきます。

最後の新米裁判官の「魂を失った命は命じゃないのか?」という問いかけは、さんざんに言い古されたテーマだとは思うものの、しみじみと考えさせられました。そしてそれを裁くことは誰にもできないのではないかと。お互いに深く愛していたがゆえに、殺してやらずにはいられなかった梶の行為は、果たして悪といいきれるのか、私はそうは思わないけれど、最後の判決は決して厳しいとは思わなかったです。人をあまりに愛するがゆえに、人の道をはずれてしまう、人間の根源的な愚かさへの償いとして、梶は罰を受けるべきだと思うのです。そしてその人間としての梶を、非常に愛しく思います。

話としては、深いテーマではあるものの、主人公の梶をはじめ、志木や佐瀬がいい子ちゃんすぎて、人間の描き方としては表層的な感が否めませんでした。(私がひねくれてるだけなのか)でもさすがに豪華キャスト陣だけあって演技は神がかってると思う。私のお気に入りは、梶の義姉役の樹木きりんと、ラーメン屋の男の子です。あと佐瀬役の伊原剛志がちょうかっこいい。